お着物をご愛用の皆様へ、日頃のお着物の取り扱いについて
スレについて
すでにご存じの方も多いと思いますが、しみや汚れがついてしまったら、擦るのはNGです。
これまでにご依頼いただいたお着物にも、しみの所を擦ってあることがあります。
被害を最小限にという思いで、ついというのが心情ではありますが、濡れた部分や、濡れたおしぼりなどで擦ってしまうと、しみが薄くなる場合はありますが、乾いた時に白っぽくなることがあります。これは生地の表面が荒れてしまい、やすりで削ったような細かいキズの集合体とイメージするとわかりやすくなると思います。そしていじった部分がつけたしみよりも大きな新たなしみとして残ることがあります。擦ってしまうと生地を傷めていることに繋がりますので、しみや汚れがついてしまったら、焦らず、何もせず早めに専門店へをお勧めいたします。
着用時の汗について
汗だけではありませんが、そのままにしておくと変色していくしみの一種です。また、変色は生地を変化させ傷めています。
しみがつかないように気をつけることは出来ないわけではありませんが、とくに、衿袖口といった、直接肌が触れる場所は汗もつきやすい場所でもあります。当店でも衿袖口の変色のご依頼は少なくありません。また、それらには胴回りに汗が浸透していないケースも多々あります。これらのことから汗をかいた実感がなくても、直接肌の触れる場所は変色の起こりやすい場所と言えると思います。変色が起きてからでは加工料金も高くなったり、変色がひどい状態までいくと元の状態までは直らなくなることがあります。
汗は有機溶剤の洗いだけでは落ちません。どこでお手入れするにしても、お手入れの際は、汗の処理も一緒にやっておくことをお勧めいたします。
陰干し・虫干しの大切さ
ご自宅のたんすの中に仕舞いっぱなしは、やはりよくありません。
年に2、3回は乾燥した日に、風を通してあげるのが良いとされています。カビの付着防止にも繋がりまし、湿気のこもりが解消されます。生地の変化はしみの成分や空気中の成分と化学変化を起こしたりしますので、その環境を仕舞いっぱなしで維持していると当然起こりやすくなります。そうならないための予防の知恵で、昔から現代まで使われているものです。
とはいっても枚数お持ちの方や、お忙しい方にとっては、段取りそのものが大変だと思います。陰干し等できない場合は、晴れて乾燥した日に、仕舞われているお着物を眺めてあげてください。そして広げてブハッブハッっとしてたたみ直してみてください。これだけでも、陰干し等ほどではありませんが、仕舞いっぱなしに比べたらお着物にとっては良いことになると思います。